日本舞踊で得られる3つのこと

2025.07.21

「日本舞踊を習うことができたら良いかも…けれど、実際どんなことを習えるのかも、自分に合っているのかも分からない…」そんなあなたへ。

たしかに日本舞踊のお稽古は、敷居が高いイメージもあるし、ネットやSNSで調べてみても、そこにどんな楽しみがあるかが、よく分からないかもしれません。

しかし、お稽古にかようと、そこには和文化にたっぷり浸ることのできる環境があり、いちど踏み込みさえすれば、多くの楽しみと新たな発見があります。

この記事ではまず、「お稽古で得られる3つのこと」と、それに併せて「日本舞踊がもたらす楽しみ」をご紹介します。

1 日常にプラスする「生きた和の文化」

日本で暮らしていても、「和の物」にふれる機会が少ない今日この頃——そんな日常にお稽古が加われば、「定期的に和文化にふれる環境」がプラスされます。

その一例が、お着物。毎回のお稽古では、ゆかたやお着物を着ます。洋服が普段着の現代、「夏祭りでもないかぎり、なかなか着ることのできない和服」を着る機会が、日々の生活にプラスされます。

またお稽古にかよううち、しだいに動いても着崩れないような、自分の身体に「ぴったり合った着方」を覚えることができますが…そうなる頃にはもう、特別な物だった和服が、自分の身体になじんだ、日常の一部分になっています。「和」から離れた日々のなかに、日本人として知っておきたいことをプラスできるわけです(ご安心ください、はじめての方にも「用意するもの」から「着付け」まで細やかにお伝えします)。

それだけではありません。お稽古にかよえば日常に、その他さまざまな「和」をプラスすることができます。風呂敷もその一つ。お着物を包む風呂敷は、1,000年以上前から私たちの先祖に重宝されてきた和のアイテム。その便利さに慣れれば、お稽古以外のところでも使えます。たとえば「買物用のトートバックを風呂敷に変えた」というお弟子さんもいるほど。昔からつづく和の文化が、生きた仕方で、日常にプラスされたわけです。

これは一例にすぎません。江戸の人々の必須アイテム「手ぬぐい」や「お扇子」は、日本舞踊を習えば、かならず手にする物。その一つひとつが、思わぬ「日本の再発見」を与えてくれて、日々のなかに「生きた和文化」をプラスしてくれます。

2 日常に活きる美しいうごきが身に付く

日本舞踊では、日本人の「美しいうごき」も発見できます。

「おどり」のお稽古では、バランスを崩さないよう「腰を入れ」ます。400年も昔に考えられた、ふらふらしない、背筋のぴんとした、しゃんとした姿勢をつくる「型」です。

背筋をただし「腰を入れる」ことに慣れていくと、自然にふだんから、凛とした姿勢になっていきます。踊りを始めて3年、20代のAさんも「立ち姿がきれい」と言われるようになったそう。そんなAさん、始めは「腰を入れる」ことに苦戦されていましたが、お稽古を重ねるうちに、だんだんと慣れ、いまではすっかりしゃんとした佇まい。

「腰を入れる」ほかにも、「ソデをきれいにもつ動き」や「着物がはだけないような座りかた」など、日本舞踊ではいろいろな動き、「型」にふれられます。慣れていけば、凛とした姿勢だけでなく、美しい所作さえ身につくでしょう。「棚の上のものをとるとき」「落ちたものを拾うとき」——お稽古で慣れた所作は、ふとした折に、日本人の培ってきた「美しく品あるうごき」として出てくるわけです。

3 身につく「芸」、おどる「楽しみ」

そうした美しい「型」を身に付けるのは、むずかしいのも事実。

しかし、簡単にはできないからこそ「挑戦し甲斐がある」のも事実。おどりの「うごき」や「型」に慣れることは、そのまま、私たちの祖先が編み出した「芸」をなぞることに他なりません。かつての人々に想いを馳せながら試行錯誤し稽古することは、いつの間にか、表面的ではない本当の「芸」を、身体に蓄積することができ、ふとした時、「美しい所作」として、自然ににじみ出てくるものになります。

また、日本舞踊にはもちろん、シンプルなおどる「楽しみ」もあります。

和服に身を包み、清らかな「三味線の音」とともに「おどる」爽快感には、ここだけでしか味わうことのできない和の「楽しみ」があります。身体を動かしたり、ダンスすることが得意でなくても大丈夫です、講師の私も身体は硬ければスポーツ音痴もいいところですが、日本舞踊だけは「どっぷり」和文化にひたることができ、純粋に楽しいです。

そんなおどりの「楽しさ」を表した句があります。

「まだ足らぬ 踊りおどりて あの世まで」

伝説の名優であり、おどりの名人であった「六代目菊五郎」が最後に遺した一句です。どれだけ踊ってもまだ足りない、踊って踊っておどりつづけて、あの世までも——日本舞踊には、人を魅了する「楽しみ」がたしかにあり、それを踊ることは、日本の文化を、自分自身の身体でつむぐことなのだと思います。

まとめ

いかがでしたか? この記事では、日本舞踊が、「和にどっぷりひたる環境」をつくるもので、「日常に美しい所作」をもたらし、ひいては「踊る楽しさ」を感じながら、日本人としての「芸」を蓄積できることを紹介しました。

とはいえ、これは日本舞踊がもたらしてくれるものの一端にすぎません。他の記事では、じっさいのお稽古風景や、おどりの作品をご紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。今からでも、遅くありません。お稽古にかよえば必ず上達していく、それが日本舞踊です。

P.S. おどりを続けると——

いろいろなことが身に付けられる日本舞踊ですが、もし「芸」が板につき、試験に合格すれば「芸名」を頂戴することもできます。履歴書にもかける、立派な資格です。おどりを続けていくと、どんな世界が広がっていくのか、ご興味おありの方は、コチラをご覧くださいませ。

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