今回は都内で働きながら、演劇活動をされている劇団主宰・俳優の方に「日本舞踊」を体験して頂きました。
はじめての「日本舞踊体験」
はじめてのお稽古体験ということで、まずは浴衣を着るところから一緒に始めさせていただきました。つづいて始まりの「ご挨拶」、それから踊り用のお扇子「舞扇」の使い方をお伝えし、実際に日本舞踊に触れていただきます。
日本舞踊の体験稽古を終えて——
坂東 今日はありがとうございました。まずRさんは、これまで日本舞踊に対して、どのようなイメージをお持ちでしたか?
Rさん 「日本っぽい動き」があって、それを楽しむもの、というイメージでした。
坂東 Rさんはこれまで、わたくしの舞台に何回かお越しくださっていますよね。実際に日本舞踊の舞台を見たことで、そのイメージは変わりましたか?
Rさん 生で踊りを観てみると、思ったより「演劇的」なことに、驚きました。他の演劇と同じように、舞台には劇の舞台となる「世界」がある、そのことが意外でした。
つまり、ただ「日本っぽい動き」をするだけでなく、なにかの「役」になり切ったりすることが面白かったです。

“自分の体に目を向ける、面白さ”
坂東 ありがとうございます。それでは、今日実際に「おどり」を体験してみた感想を教えてください。
Rさん 今日やってみて面白いと思ったのは、「考えることがたくさんある」ということでした。私は演劇をやってますので、どうしても俳優目線の意見になりますが、「所作」ひとつをとってみても、身体のいろいろなところに気にしながら「動き」のことを考えるので、それが面白かったですし、俳優にとっては訓練になるだろう、と思っておりました。
坂東 そうですね。全身に気を配ることは、自分の「動き」が気になっている、それこそ俳優の方、あるいは所作を綺麗にしたい、という方にも身になるかもしれません。

“歌詞の面白さ”
Rさん もうひとつ面白いと思ったのは、歌詞です。今日の体験では、おどりと一緒に「歌詞の意味」を教えてくれました。歌詞の内容がわかるからこそ、この踊りが、何を表現しているのかがわかる。そして、表現しているものがわかるからこそ、それにもとづいて、体を動かすことができる、それが非常に面白かったです。
坂東 今日はRさんに「女形」を体験していただきました。「男が女を演じる」というものですが、歌詞を味わいながら踊っていただきました。
Rさん たとえば「あやめ咲くとは しおらしや」という歌詞、菖蒲が可憐に咲いている、ということがわかります。その可憐さを、男であるわたしが「女形」でしなやかに、それこそ「しおらしく」動く、というのが、難しかった(笑)ですが、面白かったです。

俳優にも、所作を綺麗にしたい人にも
坂東 それでは最後に、どんな方が「日本舞踊に向いている」と思われますか?
Rさん やっぱり自分が演劇をやっているので、俳優が向いている、といちばん初めに思います。とくに演技のなかで、身体の使いかたの「基礎」を探している人が向いていると。内面での演技は培ってきたけれど、身体の使い方としてベースとなるものがない人には、きっと面白いと思いました。
それから、「所作の細かいところに意識を向ける」という意味では、「自分の所作を美しくしたい」と思っている全ての人に向いているとも思いました。
坂東 うつくしい所作を身につけたい人、それから何か「演じたい」と思っている人に、向いてそうですね。Rさん、今日は貴重なお話をありがとうございました。
