今回は入門3年目、40代で都内会社に
お勤めのお弟子さんにインタビューしました。
日本舞踊を始めたきっかけ、お稽古の楽しみなど、日々感じられていることをお聞きします。
「リフレッシュできる時間がほしくて」
坂東 Mさんが、日本舞踊を始められたキッカケを教えてください。
Mさん 私は大学を卒業したあとすぐに就職し、ばりばりと働いていました。会社での業務は大変でしたが、それだけにやりがいもあり、充実した毎日を送っていましたが…気付けば早くも40代(笑)。忙しさに振り回されるだけじゃなく、自分だけのリフレッシュできる時間、それから居場所が作りたくて、何かいい趣味はないか、探し始めました。
坂東 Mさんは初めから日本舞踊をやろう、と思われていたわけではなく、「趣味」を探していたのですね。

Mさん はい。はじめは流行りのカフェめぐりですとか、小旅行に時たま行く、ということをしていましたが、あるときたまたま友人に誘われて行った美術館で、浮世絵を見ました。誰が描いたものだったか忘れてしまいましたが、歌舞伎役者がすごく綺麗に描かれていて、興味が沸きました。
そこでふと、むかし小学校の友人が、日本舞踊を習っていたって思い出したんです。浮世絵をみて、なんとなく「やってみたいな」と思うようになったのが、本当のキッカケだったと思います。軽い気持ちでネットでお教室を探して、無料体験があったので、ちょっと覗いてみようと思ってお稽古していただき、そのまま入門しました。
「自分とは縁とおい世界だと」
坂東 浮世絵がきっかけでいらしたのは初めて知りました。ところで、無料体験にお越しになる前は、おどりに対して、どのようなイメージをお持ちでしたか?
Mさん 私が小学生のころは、日本舞踊をやっている子が学年に1、2人ほどいましたが、それでも自分とは縁とおい世界だと思っていました。それこそ、イメージというイメージも湧かない独特な世界だろう、という感じです。ただ、幸い着物は(悪戦苦闘しながらですが(笑))着られたので、すんなり始めてみよう、と思いました。日本舞踊のお稽古が何をするのかということも全然わからず、今思い返せばよく突然飛び込んでいったな、と思っています(笑)。

坂東 実際お稽古を始められてからは、どのようにイメージが変わりましたか?
Mさん まず思ったのは、日本舞踊ってこんなに体を使うんだ!ということです。踊り手の方は、すごくしなやかに動いているイメージが何となくありましたが、実際に自分でやってみると、動き一つとっても、足や手や首や…体をたくさん使うことに驚きました。
けっしてハードな運動、というわけではないんです。何というか、体のパーツの一つひとつが、全部連なって動いていくように、綺麗に連動させる、そのために全身を使う、という感じです。ダンスの経験などもこれまで全くなかったので、この感覚がとても新鮮でした。自分の体に目を向けるいい機会だと思っています。
「三味線音楽にふれることができる」
坂東 それでは、3年お稽古に通われたいま、ご自身の私生活と、おどりの両立をどう考えられていますか?
Mさん 週に1回お稽古にうかがっていますが、やっぱりリフレッシュになると思っています。家でも会社でもない、しかもお稽古場という「ザ・日本」という空間に浸ることができるのは、こう言ったらいけないのかもしれませんが、息抜きになります。
最初はそう思っていませんでしたが、三味線の音にふれることもリフレッシュになるのかもしれません。テレビのCMとか、それから街中とかからは日本の音楽をあまり耳にすることはないですから、お稽古場で三味線の音を耳にすると、なんでかスッキリ気分が良くなってとても楽しいです(笑)。
坂東 楽しんでいただけているようで、私もとても嬉しいです。
Mさん、今日はありがとうございました。
